中国ドラマ「テレサ・テン 歌姫を愛した人々」放送予定

1995年春。台北では鄧麗君（ドン･リージュン）の母、趙素桂（ジャオ･スーグイ）の70歳の誕生日を祝う寿宴が盛大に執り行われていた。タイに滞在していた鄧麗君は、最愛の母に電話で祝福を寄せるが、ほどなくしてホテルで喘息の発作を起こし、病院へと搬送される。そして、鄧麗君の3番目の兄、鄧長富（ドン･チャンフー）の元に届いたのは、あまりにも突然すぎる鄧麗君の訃報だった。

軍人村に暮らす周敏（ジョウ･ミン）は、夫・段立天（ドワン･リーティエン）の出世のため、司令官の義母に取り入っていた。気高い周敏は村の住民とは交流せず、隣人思いの段立天にいらだつ日々。広い宿舎への転居を望む趙素桂は、段立天に口利きしてもらおうと夫・鄧枢（ドン･シュー）に内緒で高級茶を贈る。その頃、幼い鄧麗筠（ドン･リーユン/のちの鄧麗君）は、村の放送から流れる歌を楽しみにしていた。

趙素桂は、鄧麗筠のためにお金を工面し、ラジオを買い与える。一方、鄧枢は、故郷の親族と手紙のやり取りをしていることを趙素桂たち家族にも隠していた。鄧枢の弟分、四川（スーチュワン/本名・程念渝（チェン･ニエンユー）と遊秀美（ヨウ･シウメイ）の結婚式の日、歌手が歌う姿を目にした鄧麗筠は、その姿に憧れ、舞台に上がって一緒に歌を歌う。その直後、台湾を猛烈な台風が襲う。

故郷とやり取りをしていることを四川に打ち明けた鄧枢だったが、すぐに軍の同僚に知られ、１等評価を譲れば不問に付すと打診される。その話を聞いた趙素桂は憤り、鄧枢に軍を辞めるよう促す。父に内緒でラジオ局ののど自慢大会に出場し、見事優勝した鄧麗筠は、そのことを鄧枢に報告する。鄧枢は軍を辞め、饅頭店を始める。

小学校卒業式の日、卒業生代表として壇上に立った段寧（ドワン･ニン）が答辞に詰まり、代わりに鄧麗筠が臨機応変に対応して喝采を浴びる。恥をかいた段寧は、鄧麗筠に絶交を告げるが、まもなく進学校である市立女子中に合格する。卒業式の一件で鄧麗筠を敵視していた周敏は、娘の合格を知らしめるため、制服を着て村を一周してくるよう段寧に命じる。

鄧麗筠のお金で財を成したという噂（うわさ）を気にする鄧枢は、山東（シャンドン）に頼まれた借金を娘の預金から出すことをためらっていた。クラブ国賓（こくひん）では、歌手の李燕（リー･イエン）と劉小春（リウ･シャオチュン）がもめ、社長の林金木（リン･ジンムー）は振声（ジェンション）ラジオ局の趙（ジャオ）主任に仲介を頼む。李燕は鄧麗筠がトリを務めることを受け入れの条件とする。一方、鄧麗筠は両親に告げずに山東に預金通帳を渡していた。

段寧から段立天の不倫を打ち明けられた鄧麗筠。仲直りをした2人は、クラブ国賓の前で劉小春と出くわす。舞台に上がる器ではないと言われた鄧麗筠は、舞台への思いを募らせるが、兄たちは鄧枢の同意は得られないと難色を示す。しかし、妹の思いに触れた次兄の鄧長順（ドン･チャンシュン）は趙素桂に相談し、鄧麗筠は今回だけ舞台に上がることを許される。

本番直前に衣装を紛失した鄧麗筠は機転を利かせ、制服姿で自転車に乗って舞台に登場し、喝采を浴びる。趙素桂もその場に駆けつけていた。不倫する父を尾行する段寧と共にクラブを訪れた周台生（ジョウ･タイション）は、鄧麗筠が舞台で歌う姿に魅了される。その晩、鄧枢の営む店に鄧麗筠の長兄・鄧長安（ドン･チャンアン）も戻り、久しぶりに家族そろって食卓を囲む。

鄧枢が行方不明となり、鄧麗筠はラジオ局との契約を更新せず歌をやめることを決意する。趙素桂は鄧枢が山東（シャンドン）の元にいると知り、家族で会いに行く。一方、周敏と段寧は、王又玲（ワン･ヨウリン）の家を訪れ、足を捻挫した息子・周台生を見舞う。ラジオから流れる鄧麗筠の歌を楽しみにしていた周台生は、段寧に鄧麗筠への手紙の代筆を頼む。

周台生は鄧麗筠に歌を続けるよう励ますが、周台生のせいで悪いことが連鎖したと思う鄧麗筠は拒絶する。段寧は、父の浮気相手と遭遇し口論に。鄧麗筠がその場を収めるが、周敏は鄧麗筠が飲酒していたと誤解する。段寧の成績が低下し、素行も悪いと学校から聞かされた周敏は、全て鄧麗筠のせいだと思い込み、鄧家に乗りこむ。

周敏の家でボヤ騒ぎがあり、情緒不安定な周敏を鄧麗筠たちが見守ることに。段寧は、現実逃避するように周台生と一緒の時間を過ごしていた。そこへかつての文通相手・清風（チンフォン）たちが通りかかり、周台生に襲いかかる。自分のためにケンカをしてくれたと喜ぶ段寧だったが、鄧麗筠から周敏の深刻な様子を聞き、段立天に会いに行くことにする。

周台生から英語の歌を教えてもらい、周敏が企画する寿宴で歌う準備を進めていた鄧麗筠。しかし、鄧枢が歌わせるのは今回かぎりと知った趙素桂は、はなから鄧麗筠に歌わせないことを決める。両親に翻弄されて傷ついた鄧麗筠は歌うことを諦めるが、周台生と段寧に説得され、一度でもいいから歌わせてほしいと趙素桂に懇願する。

段寧が段立天の愛人・金宝珠（ジン･バオジュー）にケガをさせてしまい、とっさに周敏が罪をかぶる。金宝珠は病院に運ばれ、そこで妊娠２か月と判明する。鄧麗筠の家に身を寄せることになった段寧は、アメリカで暮らす周台生から鄧麗筠宛ての手紙を見つける。そこには、鄧麗筠の名前の意味を調べたこと、そして早く会いたいという言葉がつづられていた。

鄧麗筠がクラブ国賓で再び歌うことになり、鄧枢や趙素桂、そして村の人たちも多く駆けつける。歌手・鄧麗君として上がった舞台で、鄧麗筠は誕生日を迎えた父に向けて歌を贈る。一方、鄧麗筠がクラブで歌ったことを知った振声ラジオ局の趙主任は鄧枢たちの元に抗議に訪れるが、鄧枢はラジオ局とも再び契約するつもりだと伝える。

本番前の練習中、クラブのバンドメンバーの阿志（アージー）たちがケンカを始め、鄧麗筠は舞台の練習を再開しようとするが、バンドマスターの阿杜（アードゥー）に命令する形となり、反感を買う。本番が始まると、バンドは次々と舞台を降りてしまう。裏ではまたも劉小春が手を引いていた。周台生は、鄧麗筠のためにバンドを用意しようと友人たちに声をかける。